君こそが僕のトップ

あなたを包むすべてがやさしさで溢れるように。

あと7年経てば、きっと。

 

追いかけるたびに遠ざかってく虹のようなあの日々は

輝きだけを胸に残し 終わりを告げた

 

新しい恋を見つけても、失恋から立ち直れるとは限らない。ずっとずっと引きずってしまう恋もある。突然の別れなら尚更。

じゃあ、失恋って、いつまで抱えていても許されるんだろう。

 

 

ある日、ヒーローに出会った。そのひとは見上げる私の目の前で、キラキラとまぶしく輝いていた。

 

ある日、ヒーローへの恋を自覚した。憧れと呼べる恋しか知らなかった私が、誰かの幸せを切実に願うことを知った。

 

ある日、ヒーローは姿を消した。行き先は知っていたのに、足がすくんで追いかけることはできなかった。

 

気がついたら大学生になっていた。

中高時代のように必死な熱で誰かを、何かを応援することはなくなっていた。

それでも、あの頃から好きなものぜんぶが今でも大好きで、これだけは、と思うもの*1は追い続けている。

 

気がついたら恋をしていた期間よりも失恋を引きずっている期間の方が長くなっていた。

忘れようとして足掻いて足掻いて、どんな歌い直しも穏やかに聴けるようになった*2

それでも、ふとした瞬間にきゅっと胸が締め付けられる。つらくてつらくてたまらなくなる。

 

つらくてつらくてたまらなくて、そっと距離を置いた。

 

だけど加藤さんのくしゃっと笑う笑顔が、深い思考が、優しい声がどうしようもなくすきで、加藤さんというひとが、ひととしてだいすきで、離れられなかった。

1年前の私は、加藤シゲアキのファンになることを宣言した。

 

作家加藤シゲアキだけでなく、シゲくんだけでもなく、純粋にアイドル加藤シゲアキを真っ直ぐに見つめて、その魅力を、愛おしさをたくさんたくさん知った。

だけど私にできたのは、曲を聴くことと、現場に参戦することと、配信を見ることと、多少のグッズを買うことだけだった。

 

自担が日常に滑り込んでくることを拒否した。あくまでも日常の中に時折「推す」という時間枠が存在して、その中で全力で推すに留まった。それで担当を名乗るなと言われれば反論はできない。

 

忙しかったから。それは半分本当で半分嘘な、とっても便利な言い訳に過ぎない。

 

NEWSのことは心から好きだ。彼らの世界に浸るのは幸せで、加藤さんの思考の一片を覗けたときなどはいいようのない緊張感と高揚感、そして多幸感に包まれる。

加藤さんのことはアイドルとしても、ひととしても大好きだ。ひととして好きだからこそ、追えてないものが、知らないことがたくさんあることを認識する度に後悔し、常に追い続けたいという気持ちが湧き上がる。

 

だけどその熱のまま全力で追おうとするたびに、加藤さんひとりを見ている時にはあまり直視しなくてもすむ現実と向き合わなくてはならなくなる。

みんなが塞ぎあっていた傷は自虐の笑いに昇華されていく。聞き馴染みのある歌は少しずつ新しいものに入れ替わっていく。

自虐ネタも面白くて、新鮮な歌割りも楽しくて、だけどどうしようもなく切なくなる自分がいる。

世界は紛れもなく回っていて、時は確かに進んでいる。自転よ止まれと願ったあの日からほんとうに時を止めてしまった私の心の片隅だけが、まだあの日に取り残されている。

まだこんな気持ちを抱えているのはきっと私だけで、そのことを思うとなおのこと世界から取り残されたように感じて、いつまで経っても抜けない棘と向き合うのが辛くなって、

そうして私はまた距離を置く。

 

好きなひとの全てを知りたくなる恋心を抱えて走るたび、好きだったひとが去っていった切なさにぶち当たって足を止める。

何度もそれを繰り返して、NEWS EXPO 横浜公演と翌日のNEWSpaceでもこの二つを反復横跳びしていた。

 

そんな終わりのない喪失感と孤独感、葛藤を抱えながら歩くNEWSpaceの帰り道。

イヤホンから流れてきた歌声があった。

 

あてのない悲しみも10年後には愛おしいのかな

それならいいや エイリアンも悪くないな

- Alien (NEWS, 2023)

あぁやっぱり彼らの歌は私の心にまっすぐと突き刺さる。伸びやかで透き通るあの歌声が聞こえなくなっても、時計を止めた私の心は確実に揺さぶられる。

10年後すら抜け出せているかわからない悲しみを抱えていても許されるらしい。

10年経てばこの悲しみも癒えてるかもしれないらしい。

そうやって今夜もまた私はNEWSに救われた。

*1:NEWSのコンサート、手越くんの新曲、アイナナのメインスト、ヒプマイのドラパ

*2:と思っていた。今回の現場で5年ぶりに歌われた、金輪際歌われることはないと思っていたあの曲を聴くまでは。